物件の選び方については前回までのコラムでご紹介しました。
良い物件を選ぶためには、たくさんの物件情報を見ることが大切です。
では、どのように情報収集すれば良い物件と出会えるのでしょうか?
今回は店舗物件を探すコツについてご紹介します。
目次
出店戦略がすべて
出店戦略を明確にする
物件情報収集をはじめる前に、まずは出店戦略をしっかり固め、内容をまとめた資料を用意しましょう。不動産会社にどんな店舗物件を探しているのかを伝えやすくなり、優先して探してもらえる可能性が高まります。
出店戦略の主な項目
商圏分析
どの程度の人口数が来店するのかを予測し、参入する市場の成長具合を判断します
・人口
・年齢層
・性別
・年収
・地域の再開発計画
・交通事情
など
競合店調査
業種は異なっても同じ飲食店であれば競合となる可能性があるため、調査を行っておくべきです。
3C分析
・Company(自社)
・Customer(顧客)
・Competitor(競合)
情報を分析し、自社にどのような価値があるのかを考えるマーケティング手法です。
自社目線だけでなく、第三者目線で分析することで見えていなかった課題が見つかることもあります。
4P分析
・Product(商品・サービス)
・Price(価格)
・Promotion(販促・広告)
・Place(店舗・流通)
自社製品・サービスを4つの視点から分析し、販売戦略につなげていきます。
ターゲットを明確にする
出店戦略の資料をまとめるうえでの重要なポイントは以下のとおりです。
・ターゲットが明確か?
・出店エリアが決まっているか?
・立地がよいか?
・引き渡し条件、内装関係の確認
もっとも大切なことは「ターゲットを明確にする」ことです。
ターゲットが決まれば必然と出店エリアが決まり、立地も決まります。
意外とターゲット設定が途中でブレてしまい、失敗するケースは多いです。
例えば、サラリーマンがターゲットの場合、オフィス街より人が多いという理由だけで若者中心のエリアへ出店したものの、期待したほど売り上げが伸びなかった。この場合は人の往来の数ではなく、ターゲットの往来の数に着目し、出店エリアを決めるべきだった、という事例です。
物件探しに適した時期は4~6月
一般的に4~6月は物件の数が多くなる傾向があります。
これは「年内まで営業して閉店する」という選択をする事業者が多いことが理由として挙げられます。年末に閉店するとなれば、4~6月頃には退去を検討し始めることが多く、必然的に物件数が増加することとなります。
ただ、年末に閉店するお店ばかりではありませんし、新型コロナウイルスなどの突発的な要因により、閉店のピークがずれることもありますので、物件情報は常にチェックしておきましょう。
店舗物件を探す方法
その1 不動産会社とつながりを持つ
出店戦略の資料を用意し、不動産会社へ問い合わせます。
広く店舗物件を扱うテナント専門の会社、家主様から直接依頼を受けている元付け業者、その土地に強い会社など、ニーズに合わせて依頼します。不動産会社は毎日多くの企業とやりとりしています。問い合わせて2週間くらいは頻繁に連絡をくれますが、こちらの要望があいまいだったり返信が遅くなったりすると連絡が減り、だんだん疎遠になっていきます。関係が切れないように定期的に連絡をとりましょう。
まずは「〇〇の物件をさがしている●●会社」であることを覚えてもらうことです。
物件は大手企業優先ではない
不動産会社は相手の会社の規模よりも「契約を決めてくれそうか」を見ています。
大手チェーンであっても「契約についての条件が厳しい」「頻繁に家賃交渉をされる」など決まりそうにない会社であれば、フットワークの軽い中小企業へ優先して物件を紹介してくれる場合もあります。
その2 インターネット上で探す
インターネット上で探す場合は、店舗物件紹介サイトをうまく活用しましょう。
公開される物件情報は、以下の手順で公開されています。
- 付き合いのある企業へ紹介
- ①で決まらなかった場合、会員限定の未公開物件として扱う
- ②でも決まらなかった場合、広く世間に公開
これだけを見ると「インターネット上で良い物件は探せないのでは?」と思われるかもしれませんが、出店戦略が明確になっていれば、ニーズにあった物件は見つかります。
不動産会社が物件の紹介先を探す際、企業のWebサイトを見ることがあります。自社Webサイトに探している物件の情報を掲載しておくと紹介してもらえる可能性が高まります。
その3 候補地の周辺を歩いてみる
街を歩いていると、テナント募集の張り紙を見かけることがあります。
このような募集をする理由は2つあります。
・いろいろな会社に紹介しているがテナントがつかない
・インターネット上に公開すると連絡がたくさん来るので出したくない
長い間張り紙がしてあっても、物件に問題があるとは限りません。気になる物件があれば問い合わせてみることをお勧めします。
その4 店舗開発マンからの紹介
稀なケースですが、他社に店舗開発の知り合いがいると、未公開物件を紹介してもらえることがあります。いつの間にかお店が入れ替わっている物件は、このようなパターンが多いです。 知り合いがいない場合、コンサルティング会社に物件情報の収集を依頼しておけば、その会社の人脈を使って得た未公開の物件情報を紹介してもらえることもあります。
その5 物件の空きを待つ
すでにテナントが入っている物件に空きが出たら連絡が欲しいと「予約」をしておくことも可能です。
ただ、良い立地の物件はあまり入れ替わりがありません。飲食店や小売店などは閉店後も物件を解約せず、同じ会社が業態変更してそのまま新しいお店をオープンする場合もあります。
期待しすぎず、他の物件収集を続けながら待ちましょう。
居抜き物件の探し方
初期投資が抑えられるため、居抜き物件は人気があります。
居抜き物件のメリット・デメリットについて
居抜き物件を探すこと自体は難しいことではありません。
地方の場合、原状回復工事の済んだスケルトン物件では後継テナントがつきにくいことが多いため、解約予告期限のギリギリまで居抜きの状態で探しています。
逆に都心では借り手の数が多いため、どんな業態でも入れるようスケルトンでの退去を望まれるケースが多いですが、コロナ禍の影響もあり居抜き物件の需要も増えています。
ただし、居抜き物件ありきになってしまうと本末転倒です。あくまでも大切なのは立地です。立地で探し居抜きであれば運がいい、という心構えでいましょう。
まとめ
出店戦略を定めること、ターゲットを明確にすること、不動産会社とつながること、ネットの情報を見ること、候補地の周辺を歩いてみることなど、常にアンテナを張り巡らせておくことが良い店舗物件を探すコツです。
しかし、他業務と並行しこれを行うのは容易なことではありません。
店舗開発ジャパンでは、「物件を探す時間が足りない」「不動産会社とのネットワークを拡大したい」「素早く情報を集めたい」などのニーズに応え、物件情報収集を店舗開発の実務経験者が代行するサービスを提供しております。
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