フランチャイズ展開成功の鍵は「加盟開発 × 物件開発」の両輪戦略

山添 崇範

はじめに:FC展開はなぜ「両輪」が必要なのか

フランチャイズ(FC)展開は、自社の資本や人材リソースを抑えながら多店舗展開を加速できる強力な手段です。

しかし、実務の現場では
「加盟希望者はいるのに出店が進まない」
「物件情報はあるのに加盟者が決まらない」
といったジレンマが頻発します。

この背景にあるのは、FC展開の成功は加盟店開発と物件開発という二つの車輪を同時に回す必要があるという事実です。
加盟者がいても出せる物件がなければ開業できず、物件が豊富でも加盟者がいなければ稼働しません。どちらか一方だけでは、FC展開は前に進まないのです。 特に本部の視点では、加盟者・物件双方を同時に開発・マッチングする仕組みを持たなければ、出店戦略が「机上の計画」にとどまり、現場で止まってしまいます。
FCだからこそ、綿密な出店戦略と実行体制の両立が不可欠です。

加盟希望者がいるのに、出店が進まない理由

多くの企業が抱える課題は「加盟希望者はいるのに出店が進まない」「物件はあるのに加盟が決まらない」というものです。
つまり、FC展開は決して「加盟希望者が集まれば自然に進む」ものではないということです。

本部の機能が“片輪走行”になっていないか?

この課題の根本には、成功要因が「加盟開発」か「物件開発」のどちらかに偏ってしまっている構造があります。本部が加盟店獲得に注力するあまり物件開発が疎かになったり、逆に物件情報は豊富でも加盟者とのマッチングが進まないケースは少なくありません。

FC展開は「加盟 × 物件」の両輪があってこそ

FC展開は「加盟者を集める力」と「勝てる物件を確保する力」、この両方をバランス良く同時に回すことで初めて加速します。片方だけでは前進できず、失速や離脱のリスクさえあります。

加盟者だけでも、物件だけでも成り立たない

両輪が噛み合う瞬間が出店加速の起点

加盟希望者はいても、物件がなければ出店できない

フランチャイズ展開において、「加盟希望者がいるのに出店できない」という本部の悩みは非常に多く聞かれます。その最大の原因は、物件の確保が追いついていないことです。どれだけ熱意のあるオーナーがいたとしても、出店可能な物件がなければ開業には至りません。

物件があっても、出店してくれる加盟者がいなければ進まない

一方で、豊富な物件情報を持っていても、それを活かして出店してくれる加盟希望者がいなければ、物件は「宝の持ち腐れ」になってしまいます。店舗開発担当がいくら候補地を集めても、加盟者とのマッチングがなければFC展開は進みません。

両輪が揃って初めて動き出すFC展開

FC展開の本質は、「加盟店開発」と「物件開発」という2つの車輪を、同時に・かつバランスよく回すことにあります。
どちらか一方だけでは前に進めず、両者が噛み合って初めて、出店スピードと事業拡大の加速が可能になります。

本部に求められる“出店マッチング力”

FC本部にとって重要なのは、加盟希望者のニーズと出店可能な物件をいかにマッチングさせるかという力です。
つまり、「この人に、この場所で出店してもらうにはどうすればいいか?」という観点で、戦略的に両輪を結びつける仕組みが求められます。

3. 物件がなければ出せない、でも出せるだけではダメ

FC本部に求められるのは“探す”ではなく“勝てる立地を見極める”目利き力です。

「物件がない」ことで出店が止まる現実

多くのフランチャイズ本部が直面しているのは、「加盟希望者はいるのに物件が見つからない」という状況です。
これは、FC展開において物件確保が出店のスタート地点であることを意味しています。
どれだけ意欲的な加盟者がいても、立地が決まらなければ一歩も前に進めません。

“探す”ではなく“勝てる立地”を見極める

単に空いている物件を紹介するだけでは、FC展開の成功は見込めません。必要なのは、地域特性・商圏・競合環境・交通導線・家賃バランスなど、複数の視点から「勝てる可能性の高い物件」を見極める力です。本部には、そうした立地評価力が求められます。

物件だけあっても、加盟希望者がいなければ機能しない

一方で、仮に優良な物件情報が豊富にあったとしても、それを活かす加盟者がいなければFC展開は進みません。特に地方エリアや新業態では、「良い物件が空いているのに、手を挙げる加盟者がいない」というケースも多くあります。

出店タイミングを逃さない“両輪の連動”がカギ

加盟者の熱意は時間とともに冷めていきます。
だからこそ、本部には「加盟希望者が現れたときに、すぐに紹介できる物件情報」が必要です。
また、物件を確保したタイミングで適切な加盟者がいれば、すぐに出店の話を進められる状態が理想です。

提案型の仕組みが出店成功率を上げる

「いい物件が見つかれば連絡します」という受け身の姿勢ではなく、「このエリアにこんな物件がありますが、いかがですか?」と本部から積極的に提案できる仕組みが、出店の確度とスピードを大きく左右します。

まとめ:物件と加盟者は“タイミングがすべて”

物件も加盟希望者も、それぞれ“鮮度”があります。
FC展開では、この両者をリアルタイムでマッチングできる体制こそが、出店成功率を最大化するカギです。本部が両面を同時に意識した運用を行えるかどうかが、成長の分岐点になります。

4. 出店戦略と店舗開発体制をどう整えるか

FC展開は直営展開よりも戦略と体制が分断しやすい。
だからこそ“両輪”を意識した組織づくりが成否を分けます。

「出せる場所」から「勝てる場所」へ

フランチャイズ展開において重要なのは、単に出店できる場所を探すことではなく、「その立地で収益が見込めるか」という視点でエリアを選定することです。
出店戦略は、感覚や希望ではなく、商圏データや競合状況に基づいて策定されるべきです。

出店基準は定量的に定める

どのような条件の物件なら出店に適しているのか――これを曖昧な基準で判断していると、社内の意思決定も加盟者への説明も一貫性を欠いてしまいます。
商圏人口、視認性、導線、適正賃料などの定量データをもとに「出店基準の見える化」を行いましょう。

物件評価の仕組み化が意思決定のスピードを上げる

担当者の勘や経験に依存した出店判断では、社内でも加盟者に対しても説得力が弱くなります。
客観的な評価指標をスコア化し、数値に基づいた判断を行える仕組みを整えることで、意思決定のスピードと精度が向上します。

店舗開発体制を“加盟支援型”にシフト

直営展開と異なり、FC展開では加盟者の希望をくみ取りつつ、戦略に沿った出店を誘導する柔軟性が求められます。
そのためには、物件情報を“探す”だけでなく、“提案する”ための開発体制が不可欠です。

加盟開発チームと店舗開発チームの連携がカギ

加盟者の希望をヒアリングするチームと、物件情報を管理・開発するチームが分断されていると、スムーズな出店にはつながりません。
両者の情報をリアルタイムで共有し、戦略的にマッチングを図る「一体運用」が理想です。

社内だけで完結できない場合は、外部との連携を

社内リソースだけでは開発業務が追いつかない場合、信頼できる外部パートナーと連携することで、物件探索や立地評価を補完できます。
特に立ち上げ期や急成長フェーズでは、「外部を巻き込んだ体制づくり」が成否を分けます。

まとめ:戦略と体制は両輪で整える

出店戦略という“考え方”と、店舗開発という“動かす力”の両方がそろって初めて、再現性のあるFC展開が実現します。
思いつきではなく、構造化された仕組みと明確な基準を整備することで、持続可能な成長に向けた基盤が築かれます。

5. 成功するFC本部が実践する両輪支援の工夫

加盟店支援と物件支援を同時進行できる仕組み=“両輪支援”が成長を加速させる

両輪を支える“仕組み”がFC展開を加速させる

フランチャイズ展開を成功させている本部には共通点があります。それは「加盟者の獲得」と「物件の確保」を同時進行で支援する仕組みを持っていることです。
人材と立地の両面をバランスよく推進できる体制が整っていることで、出店スピードと加盟者満足度の両立を実現しています。

① 出店支援パッケージを整備する

成功する本部は、「加盟者任せ」にせず、出店をトータルでサポートする“パッケージ型支援”を導入しています。たとえば、以下のようなメニューが用意されています。

  • 希望エリア周辺の物件候補リストの提供
  • 物件の立地診断レポートの提示
  • 賃貸契約・条件交渉のサポート
  • 施工会社や厨房機器業者の紹介
  • 融資・補助金に関するアドバイス

これにより、加盟者は不安なく出店までのステップを進めることができます。

② 物件提案は“待ち”ではなく“攻め”

「物件が見つかればご案内します」という受け身の姿勢では、出店スピードも加盟率も上がりません。実績のある本部は、加盟希望者に対して「このエリアにこんな物件があります」と、タイムリーかつ具体的な提案を行っています。

この“攻めの姿勢”が、加盟希望者の熱が冷めないうちに決断を促す決め手となります。

③ 加盟開発と店舗開発を一体で動かす

加盟者と物件を別々に扱っている本部は、どうしてもマッチングのタイミングを逃しがちです。成功する本部では、加盟者のヒアリング内容が即座に店舗開発チームへ共有され、逆に物件情報が出た段階で適した加盟者にすぐ提案できる「横断的な連携体制」が確立されています。

④ 社内で賄えない部分は外部連携で補完

物件の開発や商圏分析は、社内だけで完結させるのが難しい場合もあります。
その場合、店舗開発に強い外部パートナーと連携することで、スピードと精度の両方を担保する体制を構築できます。

とくに広域展開を進める本部では、地域ごとの開発窓口や不動産ネットワークを活用することで、加盟希望者の希望エリアにも柔軟に対応できるようになります。

FC展開を“信頼モデル”として設計する

加盟希望者にとって「この本部なら任せられる」と思えるかどうかは、開業前のサポート体制にかかっています。
物件の提案力や交渉支援、融資相談まで含めた「伴走型の支援モデル」は、FC本部に対する信頼を形成する最大の要素です。

まとめ:両輪の支援体制が加盟率と出店スピードを高める

加盟開発と物件開発を一体で支援する仕組みが整えば、出店までのリードタイムは短縮され、加盟率・出店成功率の双方が大きく向上します。
FC展開の成否は、「仕組みで動くかどうか」で決まります。

6. 両輪が揃うとFC展開は加速する

「加盟者 × 物件」の連動が成果を生む

FC展開は、加盟希望者と出店物件のどちらか一方だけでは前に進みません。しかしこの二つが連動しはじめると、出店の成功確率は一気に高まり、FCモデルは加速度的に成長し始めます。

特に、物件と加盟者のマッチングが仕組み化されている本部では、加盟希望の初期段階から出店可能性の高いプランを提示できるため、意思決定までのリードタイムが短く、加盟率も非常に高くなります。

出店スピードがブランド力に直結する

FC展開において、出店のテンポはブランド認知と信頼構築に大きな影響を与えます。
エリア内に次々と店舗が展開されれば、地域での認知度が一気に高まり、採用力や集客力にも好循環が生まれます。
逆に、加盟者がいるのに出店が滞るようでは、ブランドイメージにネガティブな印象が残ってしまいます。

出店の成功体験が“紹介”や“再加盟”を生む

両輪が整ったFC展開では、加盟者の満足度が高くなりやすく、出店後の業績も安定します。その結果、成功した加盟者が知人を紹介したり、自ら2号店・3号店を出店する「多店舗展開の循環」が生まれます。

このような“紹介”や“再加盟”の動きは、広告や営業よりも強力な成長ドライバーとなります。

信頼と実績が“勝手に加盟者を呼び込む”仕組みになる

戦略的に出店を成功させていくと、ブランドに対する市場の評価も高まり、物件オーナーや不動産業者から「このブランドで出してほしい」と声がかかるようになります。
また、過去の加盟者の声や実績が信頼材料となり、自然と新たな加盟希望者を引き寄せる力を持ち始めます。

まとめ:仕組みが回り出すと、拡大は自然に進む

加盟者と物件の“両輪”を支える戦略と体制が整うと、FC展開は属人的な営業活動に頼らず、仕組みとして動き出します。
この状態に入れば、成長は本部の意志とリソース次第でコントロール可能になり、持続可能な拡大フェーズに突入します。

7. まとめ:FC成功の第一歩は、出店戦略の再設計から

“加盟者”と“物件”はどちらも不可欠な経営資源

本稿を通じて見てきたとおり、フランチャイズ展開の成功は「加盟者の開拓」と「物件の確保」の両方がそろって初めて実現します。
どちらか一方が欠けていては、いくら魅力的なビジネスモデルであっても、出店は進まず、機会損失が生まれてしまいます。

まず見直すべきは“出店戦略”そのもの

多くのFC本部が、出店が進まない原因を「営業力不足」「物件がないから仕方ない」と捉えがちですが、根本的な原因は、明確な出店戦略と仕組みが設計されていないことにあります。
だからこそ、最初に取り組むべきは、「どこに・誰が・どうやって出店するのか」を定義する出店戦略の再構築です。

再設計のポイントは“判断基準の言語化”と“体制の仕組み化”

出店基準や立地判断を曖昧なままにせず、数値や指標に落とし込んで言語化することで、社内外での共有と再現性が生まれます。
また、加盟開発と物件開発を連動させた体制・ツール・パートナー体制を仕組みとして整えることで、事業全体が加速します。

属人的な営業から、戦略的な成長へ

FC展開を成長軌道に乗せるには、「優秀な営業ががんばる」スタイルから脱却し、戦略と仕組みによって成長を生み出す体制へと進化することが不可欠です。
その第一歩が、出店戦略の明文化と店舗開発体制の再設計です。

継続的に成長するFC本部になるために

本部が「加盟者 × 物件」の両輪を同時に支える力を持てば、FC展開はスムーズに進み、ブランド力も自然と高まります。加盟希望者からも、「この本部なら信頼できる」という安心感が生まれ、結果的に出店数・業績ともに安定した成長を実現できます。

最後に

いま、出店が思うように進まないと感じているなら、それはチャンスです。
本部の仕組みを見直し、戦略的な“両輪運用”を整えることで、FC展開の未来は大きく変わります。

「出店を止めない」体制づくりは、経営の地力を高める取り組みでもあります。
いまこそ、出店戦略を再設計し、未来の成長に向けた第一歩を踏み出しましょう。

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執筆者プロフィール

山添 崇範

ビズキューブ・コンサルティング(株) 物件開発部 エグゼクティブディレクター

奈良県奈良市出身。関西学院大学経済学部卒業。2000年、ワタミ株式会社に入社し、店長業務、エリアマネージャーを歴任。その後、店舗開発部に異動し、店舗開発業務に従事。本部長として全国47都道府県にて約150店舗の新規出店・店舗展開に携わる。2020年、BCホールディングスグループにて店舗開発等のコンサルティング事業会社「店舗開発ジャパン」代表取締役に就任。現在は、ビズキューブ・コンサルティング㈱ 物件開発部の最高責任者となり、店舗開発のプロとして、様々な業種、業態の出店サポート、コンサルティングに従事している。物件・立地を一目見ただけでお店が繁盛するかがわかる、と自負している。
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